Florian Holzherr
写真家
2016/06/20
ガウティング
フロリアン・ホルツァーは、長年にわたり世界的に有名な建築家の作品、ジェームズ・タレルやオラファ-・エリアソンといった国際的に活躍するアーティストの写真を撮影してきました。 ミュンヘン在住のフロリアンは、建築家のアンドレア・メックにモダンなガーデンハウスの設計を依頼し、ずっと夢見ていた彼のスタジオを完成させました。そして建築写真家であるフロリアンは、特注家具を使用するのではなく、USMのモジュール性いかしてクリエイティブな空間を作り出しました。 インタビューでは、建築写真家という職業についてどのようなものが彼にインスピレーションを与えるのか、なぜファッションを撮る写真家にならなかったのかについて語ってもらいました。
ニューヨークとロサンゼルスだけでなくアメリカの砂漠地帯もよく訪ねられているようですね。あなたにとってその魅力は?
ドナルド・ジャッド財団とランドアーティストのジェームズ・タレルとのコラボレーションをしています。2000年から2008年の間は、ジャッド財団のためにテキサスのマルファへ頻繁に行きました。それはとても印象的でしたね。そしてアリゾナのフラッグスタッフにもよく行っています。タレルがそこに火山のクレーターを持っているので。彼のために多くの写真を撮っています。私が素晴らしいと思うアーティストはみんな砂漠にいるんですよ。マイケル・ハイザーやウォルター・デ・マリアなどそうですね。デ・マリアは残念ながら2013年に亡くなりましたが。彼らはそれぞれ大きなプロジェクトを他の州で手掛けていました。
これまでアメリカへの移住を考えたことはありますか?
はい、2003年に考えたことがあります。でもある女性と出会ってここにいることを決意しました。ニューヨークは素敵な街ですが、実際そこに住むとなると、生活の厳しさやストレス、物価の高さを感じます。住む場所を選ぶとしたらマンハッタンやクイーンズではなく、中心からずっと離れたどこかになりますしね。しかし、ドイツ人の写真家としてアメリカにいくのは有利な点もあります。アメリカの人は「ドイツ製」の写真を気に入ってくれますから。
あなたのスタジオはご実家のガーデンにあり、そこに4年以上住まわれていますね。どのようにしてそうなったのでしょうか?
私はずっとこの場所に何かを建てたいと思っていました。そして、妻と私はワークスペースが必要だったのです。彼女は紙を修復する仕事をしており、このスタジオには彼女のデスクもあります。以前私はベルリンで建築家のアンドレア・メックのミリタリーメモリアルを撮影したことがありました。ミュンヘンからベルリンへ朝出て夜に戻るという長いドライブの中で、私はメックにガーデンハウスのコンセプトを話したのです。当時はそんなものを建てる余裕があるか見当がつかなかったのですが。
“「学生には最初に3歩下がって被写体を見るように言っています。そのとき初めて、撮影方法を見つけ出すことができるのです。」”
アンドレア・メックはガーデンハウスを建てるアイデアをどのようにとらえましたか?
彼は興奮して私達ならできるよと言ってくれました。しかし、私自身は銀行がお金を貸してくれるかわからず不安でした。でも、うまくいったんです。そしてメックが最初にデザインしてくれたのがこのスタジオでした。最初のデザインが仕上がったあとは少しの変更だけすんだのですよ。
そしてこのスタジオで4年間仕事をされているんですね。このスタジオはあなたの働き方にどのような影響を与えましたか?
以前よりも整理整頓をするようになりましたね。このスペースが私をきれい好きにしてくれています。
このスタジオにはUSMの家具がいくつかありますが、整理整頓をする目的で購入されたのですか?
いいえ、以前市街地にあった私のシェアオフィスで小さめのUSMハラーを使っていました。そしてその後この新しいスタジオへ引っ越しました。確かに特注の家具を作ってもらうこともできますが、USMのようなフレキシブルさはありません。既存のUSMハラーを組み替えて、長く使い続けることができるんですから。
USMについて好きなところはどこですか?
USMの良いところは、家具の品質がよく、不朽のデザインであるところですね。見ていて全く飽きませんし。もちろん、白い家具を選ぶ際は歯科医院のようにならないよう気をつけて使わないといけませんが。USMハラーのもう1つの良い点は、最初から使い勝手がよいところです。
ハラーのシェルフには何を収納されていますか?
シェルフの下の部分にはハンギングフォルダーを使い、写真のアーカイブとして使っています。今も頻繁に撮影をしているので、後ろ側の壁を取ってもっと光が入るようにしました。
あなたのUSMハラーのシェルフは膨大な建築とアートのライブラリーですね。
そうですね。アート、建築、技術文献ときちんと分類していますよ。ただ、もっと整理して収納すべきだと思っています。USMハラーの良い点は重量のあるアートブックを収納できるところですね。別のシェルフだったらたわんでくると思います。
USMの家具をどこか別の場所で見たことがありますか?
はい、いろいろなところで見ますよ。USMは芸術のスタンダードです。以前はじめて中古のワゴンを購入し、それを長く使い続けています。フレキシブルさは、見てのとおり明らかです。
“「USMの良いところは、品質がよく、不朽のデザインであるところですね。」”
どのようにして写真家になられましたか?
私が関心を持っているものはアート、建築、写真の3つです。学校を卒業後、カメラマンのアシスタントとして働き始め、ミュンヘンの写真学校に入学しました。そして、State Academy of Photographic Designで3年のトレーニングを終了しました。偶然だったのですが、この学校は世界で一番古い歴史のある写真学校でした。
卒業後、自分のキャリアをスタートさせるためにどうされましたか?
1989年にタレルに出会ったのが、重要なポイントとなりました。当時彼はミュンヘンで働いており、アートを学ぶ私の妹が彼のアシスタントをしていたのです。
そしてもう1つカギとなる出来事がありました。写真学校で有名人を撮影するよう指示された時のことです。その際私は建築家のヘルツォーク&ド・ムーロンを選びました。しかし彼らは付き合いやすいタイプの建築家ではありませんでした。ある時、私の携帯が鳴り、私が彼らのポートレートを撮影してよいと言われたのです。15分だけ撮影時間を与えられました。ものすごく緊張しましたよ。
そしてポートレートの指名から2、3週間後、ヘルツォーク&ド・ムーロンの家を撮影する機会を与えられました。これが私のキャリアの扉を開いたのです。火花が一気に散るようにスタートすることが重要ですね。
シェルフには素晴らしいカメラのコレクションがありますね。これら全て今も使用されているのですか?
かつてはその全部を使って写真撮影をしていましたよ。そして、3歳の娘をビーチで撮影するため耐水カメラが必要でした。ニコンの水中カメラは信じられないほど素敵な写真が撮れます。もう1つの優れたコンパクトカメラは、Rollei 35ですね。デザインが非常に美しく、ポケットに入る小さくて素敵なカメラです。ただ、現在私が撮影する写真の90%はiPhoneで撮影したものです。どこにいてもiPhoneさえ持っていればいいなんて、恐ろしいですね。
あなたは前に自分がアーティストではないとおっしゃっていました。ご自身が何であるとお考えですか?
職人です。アートと建築を可能な限り美しく見せる職人だと思っています。学生達にいつも言っているのは、後ろへ3歩下がること、次に膝をつくことです。そうすれば、撮影方法を考えることができます。私は自分がクリエイティブになるのは難しいことを理解しています。ファッショナブルにもなれません。私の写真はVogueに掲載されている写真とは違うのです。
写真以外に好きなものは何ですか?
車ですね。1989年製造のビンテージカーを持っています。そして、BMW Z1が好きです。1988年の車ですが、古くは見えません。ただ、今は娘がいますので、もう遊びまわるようなことはありませんよ。
最後に、あなたが感銘を受けた建築を3つ教えてください。
アシスタントだった頃に見た、ヘルツォーク&ド・ムーロンのパッフェンホルツのスポーツセンターには息を飲みました。それから、カリフォルニアのサンディエゴ近郊のラホヤにあるソーク研究所ですね。あとミュンヘンのゲーツコレクションです。これはヘルツォーク&ド・ムーロンの初期の建築の1つです。
魅力的な写真の世界と、素晴らしいスタジオをご紹介いただきましてありがとうございました。
このストーリーは国際的なインタビュー雑誌Freunde von Freunden.によって制作されたものです。 USM についてさらに知りたい方はこちら