Uli Mayer-Johanssen
MetaDesign
ブランディングエキスパート &設立者
2016/09/20
ベルリン
とどまることなく常にスピーディーに変化していく複雑な現代社会で生きていくうえで、人間にはよりどころになるものが必要、とウリ・マイヤーヨハンセンは語ります。
ベルリンでこんなすてきな家をどうやって見つけられたのですか?
当時、私たちのイメージに合う場所をずっと探していました。
戦後、ほとんどの家は解体されるか、老朽化するまま放置されていました。そんな中でこの家は築100年でも健在で、とても興味深い歴史を持っています。1912年にある将校によって建てられ、その後、男爵夫人が住み、戦争中はカジノとして使われていたそうです。
本当にすごい歴史ですね。
初めてこの家に一歩足を踏み入れたとたん、ここだ、と思いました。
高い天井、歴史を感じさせる素敵な窓、寄木細工、庭の眺望、大きくて古い樹木・・・すべてのものが温かさと美しさにあふれていました。すぐに惚れ込みました。
“すべてのインテリアにそれぞれの歴史が刻まれているのを感じるでしょう”
インテリアの様式について、聞かせてください。
すべてのインテリアにそれぞれの歴史が刻まれているのを感じていただけると思います。13年前に夫と出会って同じ家に暮らしていくのに、互いに違う二つの趣味をどうやってうまく合わせるかが課題でした。
しかし意外にもすべてがうまくマッチして、見事な相互作用を生みながら、新しいものと古いものがドラマチックに融合したのです。
例えば夫はアンティークのキリム(手織り絨毯)がとても好きでした。
学生時代、彼はトルコにいて、トルコのカルチャーやモスク、装飾、色彩やフォルムの世界がとても好きでした。最初、私はこの絨毯があまり好きではなかったのですが、今ではもうこれ以外のものは敷きたくないくらいです。
USMの家具は、初めからあったのですか?
夫はお気に入りのハンブルクの家を出ることになって、ふたりでベルリンのツェーレンドルフにある賃貸住宅の最上階の家に引っ越すことになりました。そこは素敵だったのですが、最上階だけに内装とインテリアを整えるにはかなり難しい環境でした。
防火壁のせいで部屋が斜めに仕切られているし、窓が大きくとられていたりして、そんな家に二人のまったく違う世界を融合させなければならなくなったのです。それではっきりしたことがありました。プロの助けが必要だということ。そこでイネツ・フランクセンのデザイン家具店Modusにお世話になることになって、初めてUSMハラーに出会ったんです。
それで赤のUSMハラーを拡張していったんですか?
もう一度引っ越すことになって、改めて配置して、拡張して、パーツを付けたして作り直す必要に迫られたんです。ドロップダウンドア、エクステンションシェルフ、ドロワー、移動ワゴンなどたくさんのエレメントを増やしていきました。
居心地のいいリビングをワークスペースから仕切り、同時に実用的なニーズを満たすよう家全体を配置するのは、かなり難しいことでした。昔から使っているサイドボードは今もとても最適に使えていますし、実用的でしかもすごく見た目もよくなっていると思います。もうかれこれ14年以上もUSMの家具にお世話になっていますが、ほんとに使ってきてよかったですね。
何を収納されていらっしゃるんですか?
本、ファイル、文書、収集した資料、それに色鉛筆、油性絵具、水彩絵具、ノート、ペーパー、スケッチブックです。重要なものも、それほど重要ではないものもあります。でも、すべて私の生活の中で大事なものばかりです。どれにもエピソードがあって、かかわりがあった人や旅、素敵な時間を思い出させてくれます。
“彫刻であれ、家具であれ、すべてのものが世界の価値や希望、イメージを私たちに伝えてくれる。”
彫刻をたくさんお持ちですが、この情熱はどこから来ているんでしょうか?
祖父は彫刻家で石工だったのですが、私自身は長い間、この分野に手を出してこなかったのです。UDK(ベルリン芸術大学)の学生だったころ、イタリアへ旅する機会があって、そこで一目ぼれをし、のめりこんでいきました。卒業してからも足を運びましたね。例えば大きな鏡をはめているバロック様式のフレームは、私が旅先で手に入れて修復したもらったものです。
こんな感じでどのインテリアもエピソードがあって、誰もが感じられるオーラが出てくるんです。それぞれ作られた時代様式や文化圏が別であっても、私の部屋で出会うと互いに魅力と説得力を引き立たせるんですね。
アフシャルの遊牧民が作った絨毯の横にバロックの鏡があり、それがUSMハラーと並ぶことで、わくわくするような魅力を生み出す。これはとても素敵なことでしょ。
アートはあなたの人生にとってとても重要なもののようですね。
ブランディングマネージメント会社MetaDesignの共同設立者として、デザインも日々の生活の中で大きな意味を持っています。
アートとデザイン、これらは切り離して考えらえるものだと思いますか?
絵画、彫刻、絨毯、家具、服、あるいは日々使う日用品はみな、私が生きているすばらしい世界の表現なんです。望むと望まないとにかかわらず、こうしたものがすべて態度、価値観、世界へのまなざし、品質への理解、夢、希望、イメージといったものを私たちに伝えてくれるツールになっているんですね。だから私の興味はいつも、こうした事物の目に見える次元の背後にあるものを見つめ、その法則性を見つけることにあります。
“成功する企業アイデンティティの一つは、魅力的なヴィジュアルだ。”
USMのデザインは、あなたのどんな望みを満たしてくれますか?
USMのデザインは流行に左右されないし、時代思潮に追随していないから、明日にはもう古くなっていると言うことがないんですね。
プロのやり方でしっかり仕事を果たしてくれるということです。
だからこそこの家具は、ずっと私の人生につれそってくれています。
ブランディングエキスパートとして、成功する企業のアイデンティティとはどのようなものと考えますか。
とてもスピーディーでグローバルで変化が激しく、テクノロジー、メディア、チャンネルなどがどんどん増大しているこの世界で、ブランド認知度を安定させ、ブランドをいきいきと簡潔に表に出すために必要なことは、そのブランドが持つ明快な魅力を示すことです。この複雑な世界ではその答えへの要求がとにかく大きくなりますよね。いつもこう問うのです。
何が安定をもたらすのかって。魅力的なヴィジュアルが勝つ、これが私の答えです。
ありがとうございました。
このストーリーは国際的なインタビュー雑誌Freunde von Freunden.によって制作されたものです。 USM についてさらに知りたい方はこちら