Ana Strumpf

Ana Strumpf

イラストレーター&デザイナー

2016/04/04

サンパウロ

アナ・ストランフの広々としたアパートは、ハイノポリスというサンパウロの閑静な一角にあります。イラストレーター、インテリアデザイナー、プロダクトデザイナーを兼業する彼女は、多種多様なスタイルをひとつの空間で表現することを好みます。リビングルームには、アナがデザインしたリサイクル素材のイスの横に、USMのクラシックなサイドボードが並んでいます。アナの多方面にわたる才能は、インテリアだけではなく、ライフスタイルにも表れています。

アナとご主人はニューヨークで暮らす間に、双子の男の子、マックスとノアを授かりました。

アナのイラストにはポップアートを思わせるものがありますね。目の前にある素材を使って、それに新しい命を吹き込んでいるように思えます。あなたの作り出すものが、こんなに明るく、遊び心にあふれているのはなぜですか?

何かに新しく命を吹き込んだり、新しい組み合わせを考えてみたり、試行錯誤しながらアイデアを生み出すことが、働く上で私が大切にしていること。以前お店を経営していたのだけど、両親の工場から出る古くなった材料をもらってきては、それをリサイクルして、カバンやクッションに加工したり、家具にしたりして売っていたの。

今やっていることも、基本的にはそれと同じ。古いファッション雑誌の表紙を素材にして、それを自分の手でイラストとして加工していく。美しいものとして出来上がっている表紙を、さらに美しくしようとは思わないわ。

オリジナルとは、まったく違うものにしようといつも意識しているの。その気持は、素材とした表紙を作っているデザイナーに対する敬意でもあるのよ。そうして出来上がるものは、遊び心のある色鮮やかなものばかり。これが私のやり方です。あまり考えずに、まず行動に移す方が好きなの。

影響を受けてきたアーティストは?

両親は私が幼いころから、芸術の手ほどきをしてくれたわ。アンリ・マティスは母が好きな画家。私の仕事は母の強い影響を受けているし、ときどき母と一緒に仕事をすることもあるの。特に空間デザインを考えるときなんかね。マティスは私もお気に入りで、彼の色使い、ダイナミックな図柄、絵全体のプロポーションが特に好き。空間デザインを考えるにしても、イラストを描くにしても、仕事をするときにはいつも良いお手本になってくれるの。

アナは鮮やかな色使いを好むけれど、USMのサイドボードには黒を選びました。

“USMの黒のサイドボードは、うちにある家具の中ではおそらく一番地味なものだけど、実は同時に無限の多様性を表しているの。USMのサイドボードとペルー産の民族絨毯を組み合わせても、まったく違和感がないと思う”

色使いと大胆でダイナミックな図柄の話になったので、アナの素敵なアパートの話を聞かせてください。コントラストは好きですか?

コントラストを作ることは大好きよ。ヴィンテージの家具と新しい家具、ロマンティックな家具と工業的な家具、ポップとクラシック、ミニマリズム的なものとダイナミックなもの。整然と整った家って、とても退屈だと思うの。

直線的なUSMは、コントラストで遊ぶには本当に最適。USMのコンセプトには脱帽しているわ。もちろんデザインも好き。最初、USMのサイドボードを選ぶのに赤にするか、黄色にするか、ずっと迷っていたの。結局、黒に決めたのだけど。家にはシンプルな家具が少しと、自作の家具がたくさんあるの。自作の方はとにかくカラフルだから、中立的なものが欲しかったのよね。

どのように家具を組み合わせていますか?

うちにある全ての家具にはストーリーがあって、どれも私の旅先の思い出が詰まっているのよ。USMの黒のサイドボードは、私の中ではニューヨークとつながっているわ。ブラジルでの生活を心から愛しているけど、ニューヨークに戻ることになったら、一瞬も躊躇しないで行ってしまうと思う。あの街で過ごした4年間で、私は本当に多くのことを学んだから。

私って都会育ちだと思うの。だから週末は両親の持っている農園に行って、自分のバッテリーを充電するようにしているの。私はサンパウロに生まれたから、この街は私にとってのふるさと。ニューヨークにいたときは、キャリアも交友関係も、全部自分ひとりで築くしかなかった。二人の子どもそこで生まれたし、ニューヨークは私にとって特別な場所なんです。

このサイドボードを買ったときのことはとても印象的だったわ。サンパウロに帰ってくる直前に買って、お店から直接送ってもらったの。だからこの家具はニューヨークとの別れをいつも思い出させてくれる。

USMとの出会いは?

ニューヨークのカッコいいロフトやオフィスで目にする機会があって、いつもステキだなと思いながら眺めてた。そして、もっと別の環境で使ってみたらどうかなと思ったの。USMの家具はいろんな面を持っているから、どこでも映えるのよ。カラーバリエーションもたくさんあるし、どんな部屋でもいい味が出る。USMの黒のサイドボードは、うちにある家具の中ではおそらく一番地味なものになるけれど、実は同時に無限の多様性を表している。私はこれをペルー産の民族絨毯と組み合わせてみたの。そうしたら、清潔さと民族スタイルが見事に溶け合ってくれた。

USMのサイドボードには何を収納していますか?

夫のデニソン・ラマーリョは映画監督なの。彼はホラー映画が大好き。うちにあるDVDはほとんど彼のものだけど、それをサイドボードに入れているわ。玄関の黄色い壁のところにあったの、見なかった?壁にホラー映画のポスターが貼ってあったでしょ。私の好きなジャンルとは言えないけど。夫と私というのも、コントラストの一つということね。これってとってもわかりやすい例だと思うわ。

うちの双子のマックスとノアは、USMの家具で遊ぶのがとても好きなの。自分の姿がクロームのチューブに映ったり、家具によじ登って、その上にあるテレビを点けたり消したりするのが楽しくてしょうがないみたい。最初はこの子たちが、めちゃくちゃに壊してしまうんじゃないかって心配していたんだけど、今ではそんなこともなくなった。だって長く使えるようにとても頑丈に作られているんだから。そうでしょ?

ニューヨークのアーティストやデザイナーたちの間で、USMの家具がとても人気があると聞きましたが、サンパウロではどうですか?

ニューヨークではいろんなシーンで、さりげなくUSMの家具に光を当てている。最近ちょうどブラジルの女性のお客さんに、ステキなUSMの家具をたくさん提案してあげたばかりよ。彼女の家にぴったりの、大きくて黄色いローボードを選らんだわ。とてもよく映えて、すごく良い感じなの。遊びに来る人たちが、みんな気に入るはずよ。

ニューヨークでは仕事でどのような変化がありましたか?

2010年に夫がコロンビア大学フィルム・マスタープログラムの奨学金をもらうことになって、一緒に行くことになったの。最初に始めたのは、インテリアデザイナーとしての仕事。ブラジルの知人たちの多くがニューヨークの不動産を買ったり、借りたりしていて、彼らが仕事をくれたのがきっかけ。初めのころは、「私はインテリアの専門家じゃないのだけど」ってずっと思っていたわ。その前までサンパウロで6年間ファッションとデザインの仕事をしていたから。でもインテリアデザインは、私の生活の一部になっていたのよ。をしていたから。でもインテリアデザインは、私の生活の一部になってきたのよ。仕事としてうまくいくようになって、今ではサンパウロにあるアパートも担当しているわ。

アナは何に対しても、美的な観点から見ます。雑誌の表紙に落書きしたものが、最近になって、女友達のギャラリーで展示されるようになりました。

ニューヨークとサンパウロの文化状況はどう違いますか?

どちらも極端なほどクリエイティブ。ただ、ニューヨークは文化に対してプロ意識をもって向き合うことが出来る。サンパウロは、多くのものがその瞬間に生まれてくるの。どちらの文化も体験できたことは、私にとってすごくプラスになったわ。サンパウロでクリエイティブなシーンが生まれてくるの見るのはうれしいのだけど、何もかもスムーズに流れていくニューヨークが、たまに恋しくなることもあるわ。

例えば、ブラジルはインフラの面でまだとても遅れているでしょ。二人の子どもを抱えているから車に頼らざるを得ないんだけど、交通渋滞は地獄だし、交通機関はまだまだ改善点がたくさんある。ここにいると時々制約を受けている気になって、ニューヨークは自由だったなって改めて感じる。一番恋しいのは、通りで感じられた落ちついたムード、ニューヨーカー、それにライトアップされたショーケースね。

今、あなたをインスパイアするものは何ですか?

特に決まったものはないわ。でもときどき、突然アイデアがひらめくことがある。最近の話だけど、あるプロジェクトでちょっと行き詰ってしまって、三日三晩ずっと糸口を探しあぐねていたことがあったの。子どもたちをベッドに連れて行って寝かしつけていたら、突然アイデアがわいて、数秒後には頭の中ですべてが出来上がっていた。そんなことがたまにあるわね。

“私って都会育ちだと思うの。ニューヨークの道端で、”自由”の新しい形に出会えたわ”

素敵なアパートでのお時間と、興味深い話をありがとうございました。

Freunde von Freunden」では 、ニューヨークとサンパウロでの生活とクリエイティブな仕事についてさらに詳しくアナが語ってくれています。

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