Gildas Loaec

Gildas Loaec

MAISON KITSUNÉの共同設立者

2017/01/27

パリ

ジルダ・ロアエックは成功した企業家の中の一人です。彼はレイブパーティーへ通い、高校でファン雑誌を印刷出版するところからスタートしました。そして今ではハイエンドコーヒーを手掛けるまでにいたっています。カルトミュージック&ファッションレーベル事業を共同設立する前は、国際的に活躍するバンド Daft Punk のマネージャー兼クリエイティブディレクターでした。 そして、 MAISON KITSUNÉに関するストーリー。 ただジルダに質問してみると、このほとんどが幸運と出会いのたまものなのだそう。 このブランドは 2002 年にスタートし、現在世界で 300 を超えるショップと取引があり、ニューヨーク、パリ、香港、東京に 9 店舗のブティックを誇るブランドです。 MAISON KITSUNÉ は安定しながらも目覚ましい成長をとげており、明るく鮮やかなファッションだけでなく、難しいとされる独自レーベルでの音楽制作でも成長を遂げています。 ジルダはオーストラリアのバンド Parcels のような若いミュージシャンを探し出したり、Andre のようなストリートアーティストとコラボレーションしたり、強い情熱をもってファンの感情を駆り立てるものを発信し続けています。 私達はパリの Grands Boulevards の外れ、静かな裏道に隠れたジルダのオフィスに伺いました。 43歳のクリエーターのジルダは、クラッシックなフレンチルックがいかにトレンドなのか、製品に共感してもらうことがなぜとても重要であるのかを語ってくれました。

ジルダは宮﨑駿の映画「風立ちぬ」からインスピレーションを受けた2016年秋冬コレクション “Love Rises” のセーターを着用しています。

2013 年にオープンした Cafe Kitsuné はファッション&音楽レーベルの延長であり、今ではパリと東京に 2 店舗展開しています。

どうしてMAISON KITSUNÉ はトレンドとされ続けているのですか?

それは私のこだわりですね。 弊社の存続には欠かせないものです。 そしてそれは音楽を通じたものです。
ブランド初期に私たちを発見し、応援してくださった人々とともに、常に生まれ変わり、年をとらないように工夫することを心がけています。 私は新しいサウンドやファッションの新しいトレンドを探すため、外に出て新しいアーティストやミュージシャンを探しだすことにこだわりをもっています。これは実際昔からやっていることです。

まさにクラッシックなフレンチルックですね。

はい、私達はパリジャンルックと呼んでいますけどね。 弊社の最大のクライアントベースはアジアにあります。世代はとても若く、ストリートウェアに熱心なので、テイストもよりブランドを意識したものや、もっと大胆なデザインのものを扱っています。 レシピのような感じですね、日々良くなっていきます。 そしてルールはありません。 いや、ルールはあるんですけどそれを修正したくなるんです。

新しい才能をどうやって発見していますか?

好奇心を持ち続け、自分の周囲で何が起こっているか注意しなければなりません。 時には路上で何かを発見する場合もありますが、今はインスタグラムと呼ばれる魔法のようなものもありますね。タイミングと使い方さえ合えば、必要な情報をうまく手に入れることができます。 自分のフィードは自分の関心に合わせられますし。 必ずしも「若者の文化」にこだわるわけでなく、若い人達が何を好んでいるか常に関心を持っています。

そのためにパリという場所は良い場所でしょうか?

大勢のデザイナーとアーティストがここにはいます。 ですが、パリはその恵まれた環境に頼らない取り組みをする必要があります。 マーケットを独占する大企業がクリエイティブ産業を複雑にしてしまったのです。 そしてフランスでは、メディアはある意味でオープンではありません。 メディアが小規模なレーベルをもっと取り上げてくれれば、海外からのフランスに対する見方も変わると思います。 クラシックも重要ですが、それだけが重要なのではありません。 その仕組みのせいで外からは、パリはちょっと古臭いように見えるのかもしれません。 でもそうではありません。

MAISON KITSUNÉ はどのようにスタートしましたか? 共同設立者の黒木理也さんとはどのように出会いましたか?

私は 19 歳の時に DJ 向けの小さなレコード屋をパリにオープンしました。その通りの向こうにスケートショップがあって、理也が出入りしていたのです。 それが私達の出会いです。 すこしたってからですが、私が Daft Punk というバンドと仕事をしていてアニメ制作のため日本に旅行する際、理也のことをまた思い出したのです。 彼は日本人で流暢なフランス語を話すので、一緒についてきてほしいと頼みました。 サポートしてくれる人がいることで、日本であらゆる店を見ることができたんです。 ありとあらゆる店に行きましたよ。 ファッションとデザインに関して、日本の店がいったい何をしているのかただ見たかったのです。 そしてその時に、探求の機会がたくさんあることを知りました。

“スタイルはあなたに語りかけるものであり、強い感情と他とのつながりを作り出すものです。MAISON KITSUNÉ の場合、それは細部へのこだわりですね。”

仕事ではどのようにお互いを補い合っていますか? 理也さんの役割は?

それはよく自問していることですよ(笑)。 いえ、冗談ですが。理也は現在日本に拠点を置いていて、弊社の日本支店と台湾や韓国といったその他の重要なエリアのメンバーをまとめています。 彼はどちらかというと弊社ブランドと商業開発の大使といった役どころです。 そして私はチームとスタジオをまとめているという形です。 かつて私達は二人きりでしたが、今では私達よりもずっと仕事ができるたくさんの有能な人材がいます。 私のアイデアを自分よりもはるかに上手く実行できる人を見つけることが好きなんです。

とても謙虚ですね。

それが「アーティストディレクター」と呼ばれる所以なのかもしれません。 いや、でもそうですね。そして私達は起業家でもあります。 そこが理也と私とをしっかり結びつけるところです。 強力な経済的角度から会社を発展させることで、私達は多忙になっています。 売上高や利益といったものは、依然として難しい問題の一つです。

しばらくの間、Daft Punk のアーティスティックディレクターもされていましたね。 そこから学んだ事は何ですか?

スタイルは実物であり、創作活動の上でそれを演じるという役割を持っているという事実です。 もしアイデアがありそれを実行するなら、それはまだ仕事の半分でしかありません。 そこから人々がどうやってそれにアクセスするだろうか、自分が作ったもので人々をどのように動かすのかを想像しなければなりません。 人の心に残り、人がそれを発見した後でそれについて友達と話したくなるようなプラスアルファのストーリーは何であるか。 この考え方は曲作りに有効ですが、他のことにも当てはまります。 多くのアーティストが好きなようにそれぞれの仕事をしています。それはそれですばらしいのですが、誰もお互いに関心を持たない。 発見されるのをただ待っているだけでよいはずがありません。

次の言葉はどういう意味だと思われますか? 「スタイル」

非常に主観的です。 でも、スタイルはあなたに語りかけるものであり、強い感動と他とのつながりを作り出すものです。 MAISON KITSUNÉの場合、それは細部への細やかな注意に関係します。 スタイルを通じて、人々はお互いを認識でき、同じ嗜好を持っていることを知ることができます。

ご自身のスタイルは見つかりましたか?

いいえ。だからこそとても楽しく、私が広く音楽レーベルとファッションブランドに興味を持っているのです。 実験して進化したいですね。 それには”時間”とつながっていることが重要です。

MAISON KITSUNÉ の本社は Grands Boulevards の外れ、静かな裏道に隠れた場所にあります。

015 年 8 月に AgeHa (東京)で開催した Kitsuné Club Night で DJ をしているジルダ・ロアエック

MAISON KITSUNÉの2016-17年秋冬コレクション「Love Rises」 - ジルダ・ロアエックと黒木理也は宮崎駿監督のアニメーション映画『風立ちぬ』からインスピレーションを受けたアイテムを発表。

MAISON KITSUNÉ はプレタポルテ(既製服)と音楽の両面で活気があることで知られています。 それはインテリアデザインにも反映されていますか?

弊社は生地、仕上げ、ディテールに細心の注意を払い品質の高い製品を提供することに全力を尽くしています。 各シーズンの新しいテーマ、コレクションと各々のビジュアルイメージを通じて伝えるストーリーを作り上げることに私達は熱い情熱を持っています。 MAISON KITSUNÉ では好奇心と品質がキーワードです。 それは音楽サイドでも同じです。長期的に見てストーリーを伝えるために、長く聴かれる曲、感動を作り出す曲を探し求めています。 これはもちろんインテリアデザインにも反映されています。 実に優れた家具のデザインは、創造性、機能性、高品質を兼ね備えています。 その点で USM は優れており、家具の強度と耐久性を兼ね備えています。また USM のデザインは私にとって時代を超越したクラッシックです。

家具選びについてはどう取り組まれていますか?

ビンテージのクラシックとスマートなコンテンポラリーのミックスでありながらも時間を超越する製品としてUSMを選びました。 たぶん自分で服を着るような感じで、異なる種類のものをミックスして部屋を飾っているのだと思います。

お持ちのUSMの家具についてはどうでしょうか。あなたのスタイルの一部になっていますか?

経験によって築き上げられた高い品質に興味がありますね。 家具にはストーリーがあります。少なくともそのブランドを知る人にとっては。 そこには隠れた何かがあります。 その点もまた MAISON KITSUNÉ が興味を持っているところで、USM が可能とする同じ種類の共感を私達が引き起こせるようになりたいと思っています。 人々にとって豊かでそれを友達に話したくなる気持ちを作り出す方法は、弊社がとても大切にしているところです。

製品に共感を持たせるとおっしゃっていましたが、それがMAISON KITSUNÉ にとってそれはどのような役割を果たすのでしょうか?そしてファンのために何をすることを心がけていますか?

それはまさに品質、創造性、アイデアの研究です。時間をかけて製品のストーリーを伝えるための最善の方法を考える、これが感動を作り出し、お客様、コミュニティーとの長期に渡る関係を築きます。 弊社のアパレルラインとミュージックレーベルの両方に関する口コミを私達は強く信じています。 仲の良い友人があのバンドのあの曲を聴くように、またはあのブランドの服を勧めてくれること以上にすばらしいことはありません。

あなたのキャリアで最も誇らしい瞬間はどんな時でしたか?

ニューヨークに店をオープンした時です。色々な夢はありましたが、ニューヨークに店を持てるなんて夢にも思ってなかったものですから。 そして、日本のショップは自分たちで建物を建てるところから始め、オープンまでこぎつけました。 それもまた、私達が最初に始めた時には想像もできなかったことです。 スタジオにも小さな満足感があります。また自分たちの仕事もどんどんよくなっていっているように感じます。

ありがとうございました。 彼のブランドについての詳しく知りたい方はこちらから MAISON KITSUNÉ .

このストーリーは国際的なインタビュー雑誌Freunde von Freunden.によって制作されたものです。 USM についてさらに知りたい方はこちら