Andreas Ernst

Andreas Ernst

数学教師・グラフィティアーティスト

2016/12/21

フライブルク

アンドレアスの日常には、一見正反対に見えることがたくさん存在します。 数学教師であり、グラフィティアーティストでもあるため、確率理論とスプレー技術は同じぐらいよく知っています。 フライブルクのシュテューリンガー地区でこの二つの生き方を両立することが出来ました。 抽象的なスケッチとは対照的に、アパートは主にはっきりとした直線を基調としています。 様々な仕事をしているアンドレアスにとって、屋根裏部屋は落ち着くことができる場所である必要があります。 USMのシェルフは彼の品質と調和へのこだわりを表しています。世界を旅するのが大好きだけれど、自分の部屋が一番落ち着くと語ります。

薪ストーブは今年このアパートにやってきました。 19世紀のものです。

昔、このユニットにはファイルを収納していましたが、今は薪をしまう方がお気に入りのようです。

こちらにどのくらいお住まいですか?

このアパートには4年住んでいます。 もともとはビュール出身です。 90年代の始め、公務員として働くため、フライブルクに移り住みました。 一時はガゲナウに住んだこともありますが、学生時代からここに住むようになりました。 9カ月間も世界旅行をしてみたり、今まで旅をたくさんしてきましたが、フライブルクから離れることは一度も考えたことはありません。

今住んでいるアパートで最も古い家具はどれですか?

テーブルは公務員をしている時から既にあったもので、ベッドは自分で作ったもの、シェルフは祖母のものを引き継ぎました。 長い間、シェアハウスに住んでいたため、引っ越すときに家具は少なかったです。 このアパートに住んでからは家具に興味を持つようになり、新しい物がどんどん増えています。 例えばこの薪ストーブは18世紀のもので、 歴史のあるものです。 USMのシェルフは寝室にありましたが、その強い存在感を生かすため、リビングに移しました。

このシェルフは何年くらいお使いですか?

シェルフのパーツは少しずつ買い足していきました。 ユニットの左半分は3年くらい使っています。 最初、このシェルフはファイルを整理するためだけに使っていたのですが、何か少し変わった使い方をしてみたいと思いました。 シェルフに薪を入れているのは非常に気に入っており、直線的なデザインを崩すことなく、印象を和らげてくれます。 ユニットの右半分は拡張した新しい部分です。 本当はステレオを入れようとしたのですが、アンプが大きすぎました。 今はレコード、本、ゲームを整理するために使っており、よくマッチしています。

“僕は時代を超えた美しさを目指しています。 つまらないと感じる人もいるかもしれませんが、大事なのは自分が気に入っているかどうかです。”

このスケッチには物質的な価値はあまりないかもしれませんが、思い入れがあります。

USMとの出会いのきっかけはなんですか?

子供の頃、自転車で通学していたのですが、毎日のようにビュールにあるUSMのドイツ本社の前を通っていました。 あの緑色の文字が印象的でした。 当時は、その会社が何をやっているのかは知りませんでした。 そんな僕が今、USMのユーザーになれていることを嬉しく思っています。 家具の機能性や収納スペースは勿論大事ですが、自分にとって、家具の品質の高さも重要です。 道具や機械も似たような基準で選びます。 どこに引っ越そうと、USMのシェルフはこれからの人生で欠かす事はできません。 特にシェルフは時間をかけてデザインしたため、自分にとって小さな宝のようなものです。

この部屋にある他の家具のように、シェルフは控えめでレトロ感があります。 その分、グラフィティアートは派手ですね。

何かを描くときはさまざまな色を使うことが好きですが、たまにモノクロ、つまり一色だけを使うこともあります。 大事なのはマッチしていることです。 しかし、アパートにあるもの全てがカラフルというのは自分の好みではありません。 普段も真っ黄色なズボンと青いシャツを組み合わせて着ているわけではないので。 作品を目立たせるため、自分自身は控えめでいたいのです。 グレーのラインを真ん中に入れた黒いシェルフを白い壁の前に置いているのですが、 このアパートには意図的にコントラストを取り入れています。 作品でもはっきりとした真っすぐな線を描きます。 正確でないと、非常に目立ってしまうため、これが結構難しいのです。 自由な作品ほど、ミスがより目立たなくなります。

インテリアも作品も自分のスタイルを崩さないということですね。

スタイリッシュであることを重視しているんです。 人によってはつまらないと感じることもあると思います。 時代を超えた美しさを目指しているんです。

USMのシェルフに興味を持ってくれる人はいますか?

USMを知っている人は興味を持ってくれます。 シェルフが寝室に置いてあったとき、それ程目立っていませんでしたが、リビングに移すことにより、存在感が増しました。 控えめであると同時に存在感もあり、よいコンビネーションであると思います。 オレンジ、黄色や緑である必要はありません。

“特にUSMのシェルフは時間をかけてデザインしたため、自分にとっては小さな宝物のようなものです。”

もし火事になった場合、アパートからまず何を持ち出しますか?

ここには特別な思い入れがある絵やスケッチがあります。 ニューヨークのグラフィティアーティストのスケッチもあります。 これは絶対に買えません。 物質的な価値は少ないかもしれませんが、強い思い入れがあるんです。 1994年、まだ活動を始めたばかりのときにフランクフルトでこのグラフィティアーティストと出会いました。 スケッチブックに何か描いてくれないかと人に聞いて回っており、そのアーティストにも聞いてみたのです。 そして、その人に描いてもらったのです。 もう一つのスケッチは昔一緒に活動していたバーゼルの古い友人のものです。 数年前、その友人が亡くなったため、このスケッチは自分にとって重要な意味を持っています。

これまでたくさん旅行し、あらゆる国でグラフィティアートを描いてきましたね。 特に思い出のある場所はありますか?

サンティアゴ・デ・チレはどこでもグラフィティアートを描いてもよい所だったので、ワクワクしました。 ベトナムも素敵でしたが、グラフィティアートが描ける場所を最後の日にやっと見つける事ができました。 どの国でも何かを残すようにしています。

グラフィティアートを描いているだけではなく、ワークショップも開いているのですね。 人に教えていこうと思ったのですね。

そうなんです。 学校でもワークショップを開いています。 ワークショップは毎回とても楽しいです。 新しいことを見つけなくては― と、世界旅行から戻るときはっきりと分かったのです。 一時、金細工職人として働いていましたが、数年働き、一日中じっと座りながらアクセサリーをつくるという人生は自分に向いていないことが分かりました。 そこで、フライブルク教育大学で教師になるため、工学、化学と数学を学びました。 最初の教育実習にはやりがいがとてもあり、正しい道を選んだことを確信しました。

生徒をグラフィティアートがまだ描かれていない壁に例えるとしたら、 教えるということは似たようなことなのですか?

いいえ、全く違います。 まだ何も知らない生徒にただ何か詰め込むことはできません。 それは教えるということではありません。 何度でも教える事はできますが、生徒がそれを本当に覚えるかというと、これはまた別の話です。 生徒としっかり向き合い、やる気にさせることが重要です。 やる気にさせれば、半分勝ったようなものです。 一方、壁の場合、自分のやりたいことだけをやります。

“大半の絵やスケッチには特別な思い入れがあります。 物質的な価値は少ないかもしれませんが、強い思い入れあるんです。”

USMのシェルフは寝室に置いてありましたが、そこではその存在感を生かせませんでした。

ありがとうございました。 アンドレアスの作品についてはこちら。

このストーリーは国際的なインタビュー雑誌Freunde von Freunden.によって制作されたものです。 USM についてさらに知りたい方はこちら